このページではしめ字を覚える5ステップの1つ目である「しめ字の基礎を知る」という点について解説していきます。
独学で字を学んできた僕が、実際に心がけていることになります。
この知識があることによって今後字の練習をするときの質を最大化することができると思いますので、まずはこれらを共有させてください。
ステップ①は以下の5つのポイントに分かれています。
- 行書にフォーカスする
- 手本を見つける
- 脳内イメージをもつ
- 徹底的に「パクる」
- 練習はマス目のある紙で
それでは1つずつ見ていきましょう。
行書にフォーカスする

これはまず大前提であるのですが、改めてお断りをさせていただきますと僕は硬筆で行書しか書くことができません。
基本的にしめ字は行書になります。
それは、13年間の独学でもずっと行書を専門に練習してきており、楷書は書いてこなかったからです。
行書は本当に素晴らしいです。
- 見やすい
- 早く書ける
- かっこいい字になる
点画の省略があるので早く書けるのに、それでいて見やすく、かっこいい字になります。
そんなわけで、このサイトでも基本的には行書を中心とした漢字、そしてそれに調和する形の平仮名をご紹介していきます。
手本を見つける

字の上達のために最も重要なのは「自分の書きたい字」という「手本」を見つけることです。
これによって、今後の字がめちゃくちゃ大きく変わってきます。
どんなにセンス抜群で字を覚えるのが優れていても、目指す字が残念なものだとその字にしかなりません。
そういう意味では、僕は中学1年の時にあの字に出会えて本当にラッキーだったと思います。
ちなみに、あとでわかったことですが僕の好きな字は「全書会(全国書写書道教育振興会)」という系統の字のようです。
平仮名も漢字も、この団体の字が基礎になっているので、もし僕の字が好みの字なのであればぜひチェックしてみてください。
書籍紹介
しめ字を目指すのであれば、もちろん僕の字を見ていただければOKです。
ただ、一応おすすめの書籍というのも紹介しておきます。
どちらも全書会系の字です。
教科書は限られた文字しか載っていないので、下の書籍の方が無難です。
脳内イメージをもつ
字を上達させる上で次に重要なのが、「脳内イメージ」をもつという点です。

私たちは手を使って文字を書いています。では、手に文字を書かせているのはどこでしょう。それは脳です。
あなたの書く文字は、あなたの頭の中にある文字のイメージをそのまま反映したものなのです。
書いた文字が綺麗でないとしたら、あなたの脳の中の文字が美しくないのです。
ここが大切なポイントです。あなたの脳内文字のイメージを美しく書き換えることで、脳の指令を受けて書かれる文字は必ず美しい文字となるはずです。吉田琴泉 著/ スマホで学ぶ美文字練習帳 より
この言葉は非常に核心をついていると思っています。結局、字を書くという動作は脳からの指令を運動神経が受け、筋肉を動かしています。
その指令を送る脳が「この字を書きたい」という文字のイメージができていないと当然、アウトプット先の文字は理想の文字にはなりません。
まずは自分の目指したい理想の文字(手本)を見つけて、その字をよく観察して「脳内イメージ」をもつようにしていきます。
僕の場合、今の師匠の字が理想の字であり、脳内イメージにある文字です。
徹底的に「パクる」

脳内イメージにある文字をアウトプットするためには『徹底的に「パクる」』ということが重要だと僕は考えています。
「パクる」というのは響きがよくないかもしれないので、「真似る」と思ってもらって結構です。
なぜなら、真似ができないのにその文字を書くことができるはずがないからです。
パクった先に、自分なりのオリジナリティを追加するという順です。
先にオリジナリティを追求していては、いつまで経っても理想の文字になることはできません。
徹底的に「パクる」ために僕がやっていることに以下の3つがあります。
- 表情を見る
- 文字を分析して自分なりに理屈をつける
- ミリ単位で観察する
1つずつ解説していきます。
表情を見る
文字には表情があると思っています。
それは、例えば右上がりの角度であったり、文字内の空間であったり、部首間の空間であったりします。
理想の文字と自分の文字を隣り合わせにして見比べて、パッとみた時に同じ表情になっているか、確認するようにしていきます。
美しい字には美しく見える理由があります。
それは感性だけでなく実は計算された配置にあったりします。
文字を分析して自分なりに理屈をつける
僕はパクるために、文字を分析して自分なりに理屈をつけるようにしてきました。
例えばですが、僕が実際にやっている方法はある理想の文字を書きたい時、その文字を写真にとります。
そして、4×4のマスに分けます。

上記は僕の書いた「あ」ですが、マスに分けることによって以下のようなことが分析できます。
- 1画目は2と6の中間から始まり、反り上がりながら3に少し入る。
- 2画目は2と3の間のちょうど中心からやや右反りで10まで伸ばす(中心までは戻らない)。
- 3画目は7の真ん中あたりからちょうど中心の点を通り、10に向いつつ、縦線にぶつかる前で返しはじめ、6をかすめながら7・8・11・12の交点あたりで15の中心線まで払う(中心は超えない)
このようなことを意識して書くことで、なんとなく書くよりも早く理想の字を書くことができるようになります。
ちなみに僕は文字は数学の関数と似ているなと思っています。
y=xという直線はy=xを満たす座標の点を繋いだものであり、文字も綺麗に見える点繋いでそれらを通れば必ず綺麗に見えます。
書き方のポイントはさまざまありますが、このように工夫して自分で実際に書いてみることで新たに見えてくるものがあります。
例えば
- こことここの点を繋ぐと直線上になる
- この交点の下に結びの株がくる
- こことここを結ぶ直線が並行になる
など、自分なりの理屈を見つけることで、マス目のない状態でも目指す文字を自分の文字として書くことができるようになります。
ミリ単位で観察する
硬筆は1文字が1cm×1cm程度の比較的小さな文字を書くことが多いです。
そのため、数ミリの誤差が文字の表情を大きく変えてしまいます。
まず書きたい理想の文字を見て「どのくらい出すのか」「どこまで払うのか」「どのくらい空間を空けるのか」を観察します。
そしてそのイメージを持って実際に書いてみて、見比べます。
払いが中心で終わるのが綺麗なのに、たった1mm線から出てしまっただけで全体の形が崩れてしまいます。
このように、ミリ単位までこだわることで、できるだけ目指したい文字に近づくことができます。
練習はマス目のある紙で

以上のことからも、文字の表情を見たり、ミリ単位でパクったり、マスに分けて分析したりするためにも、マス目のある紙で練習するのをおすすめします。
ジャポニカ学習帳などのTHE練習用ノートでもいいですし、方眼のルーズリーフでもOKです。
僕は分析したりすることもあるので、方眼のルーズリーフを使用しています。
たまにコピー用紙とか、チラシの裏などの白紙で書いている方もいますが、早く理想の字に近づくためにはマス目のある紙を使うことをおすすめします。
ステップ①「しめ字の基礎を知る」まとめ

以上でステップ①の「しめ字の基礎を知る」は終わりです。
まとめると、以下の5ステップでした。
- 行書にフォーカスする
- 手本を見つける
- 脳内イメージをもつ
- 徹底的に「パクる」
- 練習はマス目のある紙で
まずはこれが僕の字を書く上での基礎になります。
それでは続いてステップ②に移っていきましょう。